38.教育人間科学部 中村享史教授(続き)

2014-07-25

今月のCoの花さん7月号(Part2

 「今月のCoの花さん」は、出産・育児・介護といったライフイベントと研究活動を両立してきた諸先輩方や、研究者としてのロールモデルをご紹介するコーナーです。 

前回に引き続き、梨大教育人間科学部の学部長であり、大学院教育学研究科の教授でもある中村享史先生です。中村先生のどこか懐かしい?その優しいオーラの秘密は、とても楽しかったという前職にありました!

◎中村享史先生のご紹介

専門分野 科学教育(数学科教育学)、数科教育学

所属: 大学院教育学研究科 教育実践創成専攻(教育実践創成講座)

 

・前回は教師を目指す学生さんにとって、学生時代にしておいて欲しいことをお話いただきました。今回は、中村先生ご自身のことを少し伺います。教育学部のご出身で、数学教育を専攻したそうですが、なぜ数学の教師を目指したんですか?

 数学が好きだからです(当たり前?! 笑)。中学校後半あたりから、数学の面白さを知りましてね、それで数学教育にしました。数学って、思考を端的に表すものだって思うのですよ。文章で説明したら長くなるものが、数式で表せばほんの少しの文字と記号で済んでしまう。しかも、仮に日本語がわからない人であっても数式をみせれば何を言っているのかわかってもらえる。数と記号って世界共通。つまり、数学は、国際語だって言えるんじゃないかって思うのです。それが数学の魅力の一つです。

 また、大学進学の時点では、“教師になるぞ!”って思っていたわけではなかったのです。もともと、子ども会サークルやサマーキャンプなど行政で行っている社会教育に参加していたことがきっかけで、「生涯学習」というものに興味がありました。大学3年生になるまでは、教育学を学んで教育関連の仕事に就くつもりでいたんです。

 

・それは意外ですね。教師志望一筋なのかと思いました。大学3年生でいったい何があったんですか?

 3年生で教育実習に行ったんです。そしたら、小学校の教師ってなんて面白いんだ!って思いましてね。中学生くらいになると、自我をあまり表に出さなくなって、自由気ままな発言なんてしなくなってしまいますけど、小学生はフルオープンでどんどん気ままに自分を見せてくるじゃないですか。答えがわからなくても勢いよく手を挙げてみたりする、あの奔放さ(笑)小学校の教師というのは、教科を教えるのみならず学校行事をしたり、クラスをまとめたり、学年をまとめたりといろいろな側面で子ども達の成長を見ることができるんです。それがなんとも面白く感じて、絶対小学校の教師になろう、と決めたんです。

 

・そうだったんですか。そして大学卒業後、小学校の教師は何年くらいされていたんですか?

  21年間、勤めました。

 

・に、21年?!そんなに長く?

 そうなんですよ。長く聞こえるかもしれませんが、まあとにかく楽しい仕事だったんですね!算数の授業で毎回「学習感想」というものを書いてもらって、(今でも大切に保存しているんですよ!)、もちろん教え方の良し悪しを自己評価するためなのですが、年単位でずっとその学習感想を見ていると自分の授業の反省点を客観視できるようになります。また、児童が徐々に変化してくることがわかるんです。そのあたりが私の専門分野「教科教育学」というものなんですが、面白いでしょ?とても興味深いと思うのです。そうそう、教え子たちとも何人か連絡を取り続けていましたが、最近はフェイスブックのお蔭で10年、20年を経て再会した教え子達が増えていまして、面白いことになっています。教え子達の子どもがちょうど小学生くらいになっていて、当時あなたたちはこうだったんだよ、なんて話をして盛り上がったりもしています。私にとって大切な人脈です。これほど長く教え子達とつきあえて、楽しい時間を共有できるのも、また小学校教師の魅力ですね。

 

・世代を超えて話題や関係を築けるなんて素晴らしいですね。それにしても、今現在大学の先生をされているということは、そんなに楽しい小学校を退職されたということですよね。いったいどういうわけで小学校を辞めてしまったんですか?

 私の恩師の助言がきっかけでした。私の恩師は小学校から中学、高校、大学まですべての教員を経験した方で、私が小学校の教師が本当に面白い、と話をしたところ、「そうだろう。小学校の教師というものは面白く、やりがいがあるものなんだ。だからこそ、その面白さを次世代の教員の卵たちに伝えるのもまた教師としての使命なのではないだろうか?」と言われました。なるほど、でしたね。心から本当にやりがいを感じた仕事であるからこそ、それを伝え教えなければ。恩師の言葉に深く共感したので、大学の教員になることにしました。そのため長く暮らした東京から山梨へ家族で引っ越すことになったんですが、そのとき娘(当時中3だったのですが)から、「楽しい楽しいと言っていた仕事をどうして辞めてしまうの?」と言われましてね。楽しいことを知っているからそれを教える仕事をするんだって説明をしたんですが・・・わが娘の成長ぶりにも驚いた出来事でした。

 

・そうだったんですか。娘さんにもお仕事の楽しさが伝わっていたなんて、素敵なご家族関係ですね。

  現在も定期的に授業研究(いろいろな学校の先生方と一緒に、実際の小学校に行って授業の様子を見学し、教授手法等を研究しあう)をしていて、まれに私も昔を思い出して特別授業をさせてもらうことがあるんです。やっぱり、楽しいですよ!

 

・中村先生は本当に教師という仕事が楽しくて仕方がないんですね。では最後に、今の学生さんについて思うところがあれば教えて下さい。

 今の学生さんは、ちょっとまじめすぎやしないかと、心配しています。生真面目に履修しすぎているというか(なんて言い方したら、関係各所から怒られそうですが)。私の学生の頃はもっと自由というか“ゆるい”時代だったのかもしれませんが、よく遊び、良く学んでくれたらいいと思います。学ぶのは授業だけじゃなく、バイトなり、サークル活動なり、ボランティア活動なんていうものもあるし、その他いろいろな形で人と関わることだと思うんです。学生時代はそれができる、とても大切な時期ですからね。ぜひとも大学時代を充実させてほしいし、そんな学生をできる限り応援したいと思っています。

 そしてもう一つ、現役教師の方々に、大学の教員になるという選択肢を考えて頂きたいと思っています。若い教師のために、教師経験者

が大学の教員になることは重要なことです。本学の教職大学院には、とても面白い取組をしている教師が何人も在籍していて、日々教授法その他研究に励んでいるんですよ。こんな話もご参考にしていただけたらと思います。

  山梨大学教職大学院のHPです。ぜひ、ご覧ください!→

・楽しいことにハマっている方のお話は聞いているこちらも楽しくなってきます♪ 楽しいお時間をありがとうございました!