53.梨大OG 青柳美帆さん

2015-03-01

今月のCoの花さん3月号(Part1)

 「今月のCoの花さん」は、出産・育児・介護といったライフイベントと研究活動を両立してきた諸先輩方や、研究者としてのロールモデルをご紹介するコーナーです。 

今回は梨大OGで現在国立精神神経医療研究センターの研究員である青柳美帆さんです。実は、当コーナーの愛読者で、ご自身のキャリアデザインの参考にしてくれているんですって!((嬉〃∀〃)ゞ)

◎青柳美帆さんのご紹介

出身:山梨大学工学部コンピュータ・メディア工学科(現在のコンピュータ理工学科の前身)、同大医学工学総合教育部医学系領域医科学専攻(修士課程)および博士課程を卒業

所属:国立精神神経医療研究センター研究員、山梨大学医学部研究協力者

・こんにちは!今日はよろしくお願いします!ではではさっそく、大学受験の頃のことからお聞かせください。大学進学時は、なぜ工学部のコンピュータ・メディア工学科を選んだのですか?

 高校の頃から、生物分野のバイオやDNAといった研究には興味を持っていたんですが、コンピュータ関連のことやプログラミングは将来どんな分野に進んだとしても絶対に必要になるから知っておきたい、習っておきたい、と考えて選びました。

 

・ちなみに、文系に進むという選択肢はもともとなかったんですか?

 そうですね。文系科目は本を読めばある程度まで知識を得ることができるけど、「プログラミングって何なの?」っていうくらいコンピュータに関してシロウトだったので、「知らないことで、かつ、後々絶対必要になること」を学びたいなっていう思いがありました。

・実際に入学してみて、どうでした?

 想像以上に大変でした!なぜって、いきなりC言語の授業が始まったんですよ。コンピュータシステムを”利用する”ではなく、”開発する”側の専攻課程であることは、入学前からある程度覚悟していたんですが、それまでパソコンをいじるのは、インターネットをしたり、電子メールを送る時程度でしたので、コンピュータの画面上でロジックを考えるプログラミングには、最初はとても大きなハードルを感じました。しかも、同級生にはプログラミングやパソコン組み立て経験など、既に専門知識のある人が何人もいて、”アウェー”な感じを受けました。

・それは大変でしたね(>_<)

 私は「一を聞いて十を知る」というような器用な人間ではないので、ひたすら地道にプログラムと向き合いましたね。特に最初の頃はプログラミングしたものを全部プリントアウトして、行間に全部説明を書きこむんです。ここはこれをしている、ここはあれをしているって。ぜぇ~んぶ書いて、考えて、整理して、そうやって何がどことどう繋がっているのか把握する、という作業をひたすらやって。ですから最初は本当に時間もかかるし、はかどらないし。でも理解できるようになるにつれ、周りのスピードにもついていける様になって、卒論を書く頃には同級生から「ここのプログラムがうまくいかないんだけど」なんていう相談を受けることも多かったんですよ。

・うわぁ~すごい。スタートこそ遅れをとっているように感じたけれど、最後には追い抜いちゃったんですね!

 そうですね。それと、専門科目ももちろんですけど、人一倍、基礎科目や一般共通科目の授業が好きだったので、可能な限り履修していました。いろいろなことを知るって面白いですよね♪ 卒業必要単位数を大きく上回って、学科最多の単位取得で卒業しました(ちょっとした自慢 (^^)v) 当時、梨大は医科大学と統合されたばかりだったこともあって、どの授業でもいろいろな先生が「これからは医学も工学も融合研究していく必要がある!」と説いていたのが印象的でした。

 

・その後、大学院への進学を決めた理由は?

 いろいろな考えが融合した結果だったんですけど・・・例えば、同級生の多くはSEやプログラマーとして就職を考えていましたけど、“一日中PCに向かう仕事”は自分には向いていない、と思ったこと。それと、コンピュータ・メディア工学科でアルゴリズムを勉強したことで、物事の考え方が整理できるようになったこと。他にも、高校時代から持ち続けていた生物や研究の仕事に対する興味が消えることがなかったこと。それから、「ITとバイオという、一見”両極端”な分野を専攻すればこそ、自分にしか出来ない視点での発想が出来るはずだ!」という思い。研究アプローチ的な面において“両極端”に見えますが、コンピュータと人間は、どちらも複雑なシステムから成り立っているので、根本は似ているという所が興味深いんですよね。どちらも”学習”と”成長”があるのだからまた面白い!コンピュータを人間に近付ける技術として、最もメジャーなものに人工知能の研究がありますが、生物学に関心のあった私は、学部時代の講義の中でも、つい人とコンピュータを照合して考えてしまう瞬間が多々ありました。CPUの働きはもちろん人間の脳に置き換えられますし、並列処理と集団行動、電子回路と神経回路の相違点を追究してみるのも面白かったんです。そんな中、ちょうど「医学部以外の卒業者が医学を学べる修士課程」があることを知って、それだ!って思いました。

・それにしてもコンピュータから医科学とは、かなりの“異分野”のように思いますけど、覚悟が必要だったんではないですか?

 確かにちょっと極端かもしれませんが、私、“異分野”とか“異色”っていう言葉に魅力を感じるんですよね。全然関係ないことを学んでいるように見えるけど、ふとしたときにパッとつながることがあるんですよ。バラバラな線が面になるっていう感覚が面白いなって思うんです。ITとバイオに限ったことでは無いのですが、様々な分野の専門書を読んだり、学術的なお話を聞いたりしていると、自分が過去全く違う分野で得た知識と繋がることがあります。「あのときのアレが、ここでも活きるんだ!」って感じる瞬間ですね。実際の研究では、難しいことを分解して順序立てて論理的に解決していく、というIT分野で学んだプロセスもまた役立ちました。生命科学研究を遂行するにあたり、何らかの生理的・病理的な現象の内部ではたらいている機構の解明、すなわちブラックボックスの中身を論理的に把握しようとする力が必須です。そのためにどのような実験が必要で、結果からどのような課題が生まれるか、などを主体的に考えて行く力は、私の場合、元を辿ればプログラムを組み立てる作業の中で養われて来たように感じるんですよ。

・なるほど!「線が面になる瞬間」っていうのが、ポイントですね♪ 積極的に多くの知識を広げていっている青柳さん。次回はどんな研究をしているのか、そして今後のキャリアイメージについてのお話です!お楽しみに!