4.教育人間科学部 平井貴美代教授(続き)

2013-02-21

今月のCoの花さん:2月号 Part2

「今月のCoの花さん」は、出産・育児・介護といったライフイベントと研究活動を両立してきた諸先輩方や、研究者としてのロールモデルをご紹介するコーナーです。

◎平井 貴美代教授のご紹介

<専門分野>教育学・経営学

<所属>大学院教育学研究科 教育実践創成専攻(教育実践創成講座)教育学研究科 学校教育専攻

 前回は、先生の研究内容や珍しい資料などを見せて頂きました。なにより研究についてのお話をする先生は、とても楽しそうです。それにしても、「大学生のときは勉強が楽しくなった」とおっしゃった平井先生の真意は、いかに?!

(前回の続きから)

●私も知的好奇心を刺激されることって楽しいなあと思います。大学の授業は楽しかったですもん!

ま、私は現役大学生のときにはぜんぜんそう思わなかったんですけど。

●・・・・・・え!??

いや~あのね(笑)。

受験を乗り切って大学に入った頃は、若干燃え尽き感もあってあんまり真面目に勉強していなかったんですよ。外国語学部ロシ

ア語学科に入ったんですけど、結局ロシア語も対してモノにならなかったし、教育学関連の授業なんてホントにぜんぜん興味なかったですし、なにせ勉強することが楽しいなんて思ったことがなかったんですよ。

●えっと、えっと(ちょっとパニック)・・・それでどうやって今に至ることに?

たまたま、英語科指導法の授業でとても良い先生に出会って、じゃあ英語の教員になってみよう、と思うようになりました。中高英語の教員免許が取れたので、中学校の英語の先生になってみたわけです。

●中学の先生だったんですか?!

そうそう。6年間ほど、教員をやっていました。ところが、やってみて初めて知ったんですけど、中学校の先生って英語だけ教えられればいい、ってもんじゃなかったのですよ。

語学能力はもちろんだけど、生徒指導とか学級経営などの教職としてのスキルというか、そういうものがないと、ひとたび学校が荒れてしまうと、どうしていいのかわからない。学級経営も大変でした。

●へぇ・・・そう言われてみると確かに。正直なところ、教員ってただ授業するだけって私も思っていました。

それが違ったのですよ・・・。それで、もう一度勉強しなおそうと思って大学院に入ったのです。その大学院には学部卒の学生だけではなく、現役教員がいたり、臨床心理士を希望する人がいたりと、さらなるスキルアップを目指して通学する社会人も大勢いました。

そのときはもう一度教員に戻るつもりで、自分に足りないスキルをしっかりと身に着けると同時に、生徒たちが荒れる原因や入試制度の存在理由など、疑問に思っていたことの答えを知りたいと思っていました。

 <先生の著書「教師の条件」は外国語にも翻訳されて出版されています>

●すごいですね。理想とする教員に近づくために、どんどん勉強していったわけですね。

教師を辞めて、自分の意志で大学院に入ってみて、そしてようやく勉強することの面白みがわかるようになりました。教育学の歴史とか、どうして今のような教育制度や考え方になってきたのかということをもっと知りたくなってきたんです。だってキリがないのですよ、このことを知りたいと思って調べていたら、関連分野を知る必要がでてきて、そっちも調べていったら実はこっちの歴史が絡んでいたりして、っていわゆる芋づる式に知りたいこと・調べたいことがどんどん広がっていって・・・

●そうやって研究が楽しくなってきて、それで研究者になった、ということでしょうか。

そうですね。ただ、研究者という職業は自分の業績だけを武器にしていれば就くことができるわけではないんです。少なくとも、修士や博士を修了したら自動的になれるものではないってことは知っておいて欲しいと思いますね。

大学や研究所の求人に対して、自分の業績・研究上の志向性がマッチするかどうかが、非常に重要なポイントになります。「勉強が好きだ」「この研究については自信あるぞ」という人であっても、ちょうどいいタイミングでそのような公募がなければ大学の研究者という仕事に就けるわけではないんです。

加えて大学や研究所の「研究者」という求人枠は残念ながら、決して多くはない。研究者になりたいと憧れたり頑張ったりしている人にとっては歯がゆい現実です。私の場合もタイミングと縁に恵まれて今の仕事に就くことができた、とも言えるのです。

●そうなんですね。私も研究者というお仕事を少々安易に考えていました(反省)。

それにしても、先生はいろいろな経験をしながら現在に至ったんですね。そんな先生から、現役の学生さんたちに何かアドバイスをいただけますか?

私の専門が教育学っていうこともあって、あえて大学というところで勉強しようとする学生さんに伝えたいことを少し。

大学っていう場所は、“学ぶ”ことの自由とか、“考える”ことの自由とか、そういうものを具現化している場所であって、それらの自由を守る場所としての使命を負っている場所であると、私は考えています。だから大学生は、“押し付けの勉強”ではなくて、自らの意志で知り、学び、考えることが可能な場である大学という場所を存分に活用していただきたいと思いますね。

●非常にずしりと重みのあるお話をいただきました! ・・・ちなみに、研究に嫌気がさしたことってなかったんですか?

ないですよ!・・・・・・ただ、最近は占領期の研究をしているので、どうしても英語の文書や文献をたくさん読まなければならないのがちょっとツライかな。だって、ナイショですけど、語学苦手なんですよ(笑)

 

●とても意外な経歴と貴重なお話をしていただきまして、本当に楽しいインタビューでした。ありがとうございました!

 こうして、「研究者」という職業をまた少し理解することができた筆者ですが、読者のみなさんはいかがだったでしょうか。

 <ブリューゲルとか伊藤若冲のような緻密な絵がお好きだとか。

 本棚には「ブリューゲル版画の世界」展で買ってきたクッキーの外箱が飾ってありました。

「以前、伊藤若冲のテレビ番組で、嵐の大野君が進行役をしていたのを見て以来、彼のファンです」