16.梨大医学部産婦人科医 大森真紀子先生(続き)

2013-08-15

今月のCoの花さん 8月号(Part2) 

「今月のCoの花さん」は、出産・育児・介護といったライフイベントと研究活動を両立してきた諸先輩方や、研究者としてのロールモデルをご紹介するコーナーです。

 

 ◎大森真紀子先生のご紹介

所属:医学部附属病院 産婦人科学講座(産婦人科)

職歴概要:2001年10月から山梨医科大学(現山梨大学医学部)に所属、現在は同大学の講師をすると共に医学部附属病院産婦人科外来医長を務める。

 前回は、医師になるまでの経緯を伺いました。2年間内科医をされたあとの産婦人科には、とてもやりがいがあるようです。医師の数が減っているという産婦人科医の魅力を教えて頂きました。     

●ずばり伺いますが、産婦人科医の魅力って何ですか?

 ずばり、「おめでとう」って言える科であること!

 赤ちゃんって、赤いから“赤ちゃん”なの。赤いの!くぁわいいのぉ!!(*^o^*)

 どの子もみんな元気いっぱい!無事に生まれてきて取り上げたときは本当に嬉しい。

 産婦人科医って、最近少なくなって困っているのは知られているかと思うんだけど、私は産婦人科医、オススメって思う。なぜって、これほどたくさん「おめでとう」と言える科って他にないと思うのよね。

 それと、婦人科の診療内容で考えると、他の科と違って、診察・診断と手術が同じ科で行えるというメリットもある。具体的にいえば子宮がんや子宮頸がんなんだけど、つまり、診察の時点から退院まで、担当医として見届けることができるし、子宮がんや子宮頸がんは完治率も高いので、より多くの患者さんに「退院おめでとう」って言う機会がある。

 お産だけでなく、やっぱり「おめでとう」がいっぱい言える、これはステキな仕事だって思えるのよね。

●なるほどです。現役の先生からお話いただくと、とても説得力あります。・・・あの、私の勝手なイメージなので偏っているかもしれませんが、お医者さんってすごく長時間勤務で過酷勤務で寝る暇もなくて・・・という印象なのですが、先生は出産・育児とのバランスをどうやってとられていましたか?

私の所属していた医局のチームは本当に理解があって、つわりがひどい時などには手術を代わってくれました。子供が小さい頃にも、手術室に「お熱が出たからお迎えに来て、と保育園からお電話です」って連絡があれば「いいよ、お迎えいっておいで」って交代してくれました。我が医局は、どこか“体育会系”のチームワークがあるというか、皆で「おめでとう」の瞬間のために結束する力が強いのでありがたいです。

 それでも産後の復帰については課題があります。医療の現場は、一度離れてしまうと、あっというまについていけなくなってしまうんです。薬の名前も変わっていくし処置や治療方法もどんどん変わってしまっていくんです。なので、お産をしたらできるだけ早く復帰しないと、後々復帰のための勉強や準備に労力を要してしまうんです。

 一方で、子供の世話はどうするんだってことになってしまいますよね。私は夫も医者だったこともあり、今どきのように夫婦が協力して育児するような環境ではなかったです。で、どうしたかというと、子供を預かってくれる(今でいうベビーシッター的な存在)の知人を何人も見つけておいて、代わる代わるお願いして預けるような状態でした。20年以上前の話ですから、生後間もない子供を預かる保育園もなかったし・・・まぁ、現在も十分ではないようですけどね。

●お子さんはもう成人されているんですね。そんな環境で育ったことについて何かおっしゃっていますか?

小学校の「運動会お弁当事件」は、いまだに言いますよ(笑)

 運動会のお弁当、私も頑張って朝早くから作っていたんですよ、ちゃんと。でも午前中の診察が伸びてしまい、届けるのが予定時刻より30分遅れたんです。学校に行ってみたら、運の悪いことに午前中のプログラムが早く進んだからって、お昼時間を30分も繰り上げていたんですよ。私とお弁当が到着したときには午後の部が始まっていて・・・子供は私の父があわてて調達したコンビニ弁当をおじいちゃんと寂しく食べたそうなんです。

 おかげでせっかく頑張ったお弁当は食べてもらえないわ、お昼を一緒に食べられないわ、子供はすねるわ・・・子供にとっては大人になってもまだ話題にでるほどだから、よほど寂しい思いをしたんでしょう・・・でも私だってなかなか切ない思い出なんですが(^^;)。

●お母さんも頑張ってお弁当作ったのに~(涙)って感じですね。ワークライフバランスという視点からみて、現在の職場環境はどうですか?

今のチームは、とてもチームワークもよく、メリハリをつけて仕事をする環境づくりをしています。チームを「休むチーム」と「臨戦態勢チーム」とに分けて余暇時間を確保するようにしているんです。「休むチーム」の人は原則として、緊急呼び出しをしない。だから安心して出掛ける予定なども立てられて、家族も嬉しいですよね。私も最近、温泉や観劇にフラッと行くことを覚えました。上京して、劇場の当日キャンセル待ちで真正面の良い席で観ることもあったりして、休みを楽しむことを覚えました(笑)

●バランスのとり方が素晴らしいですね!大事ですよね。休みを休みとして充実させることは仕事の充実にも反映されると思います。チームみんなでそういう体制をとれるのも素敵ですね。 今後の目標はありますか?

そうですね、今後は若い人材の育成と、専門としている「子宮がん・子宮頸がんの癌抑制遺伝子研究」を進めていこうと思っています。最近、産婦人科を選んでくれるやる気のある若い医師が増えてきているので、研究面でもフォローアップしていきたいと思っています。

それと、チームワークよくやっているとはいえ、残念ながら出産や育児を機に職場を離れざるを得ないスタッフはいるんです。それぞれの家庭環境や事情もあって仕方ないことですが、できる限り一緒に続けてもらえる、そんな職場にしていきたい!と思います。

●応援しております!今日は本当にありがとうございました! 

 よくよく考えたら、診察以外でお医者さんとお話するの、ほとんど初めての経験でした。

 白衣を着ていないせいでしょうか、それとも大森先生のお人柄でしょうか、ほぼ初対面にもかかわらずとってもフレンドリーにお話させていただいちゃいました(^^)

 大変さを上回る充実感、お伝えする事はできましたでしょうか?!