21.宙先案内人 高橋真理子さん

2013-11-01

今月のCoの花さん11月号

「今月のCoの花さん」は、出産・育児・介護といったライフイベントと研究活動を両立してきた諸先輩方や、研究者としてのロールモデルをご紹介するコーナーです。

  

◎高橋真理子さんのご紹介

<出身>北海道大学を卒業、名古屋大大学院博士課程後期単位取得。

<所属>山梨県立科学館に天文担当として16年間勤務。今年度より「星空工房アルリシャ(http://alricha.net/)」主宰、県立科学館天文アドバイザー、山梨県立大学及び日本大学芸術学部非常勤講師。

今回は、山梨県立科学館で開館時からプラネタリウム運営や番組制作をされ、あの!「星つむぎの歌」プロジェクトの仕掛け人でもある高橋真理子さんです。高橋さんには「理系女性のキャリア形成科目」という授業で平成25年6月21日に講義をしていただきました。

講義では宇宙映像と高橋さんの生声ナレーションによる実演(!)もしていただき、講義室がいつのまにか宇宙空間に・・・なんとも夢心地な講義でした~

さっそくインタビューへ参りましょう! 

●星空やプラネタリウムに関連したお仕事をしてらっしゃいますが、その道に入ったきっかけはなんだったのでしょうか?

 写真家の星野道夫さんですね。高校のときにたまたま星野さんとオーロラ研究者の赤祖父俊一さんの対談記事を読む機会があったのです。アラスカの自然やオーロラのことについていろいろ語られていて、もう、これを、この世界をもっと知りたい!と思いまして。それがちょうど大学受験に近い時期でもあったので、「大学に行ったらオーロラの研究をしよう!」と心に決めました。

●進路選択の時期に目標が見つかったのですね。理想的です(笑)

 本当にその勢いだけで志望大学を決めてしまい、担任が成績的に厳しいからって止めるのも振り切り、気力と体力だけで合格しました(笑)。……でも、入学2日目にして、入学した大学ではオーロラの研究ができないことを知ったんです。

●ええ!そうなんですか?!

 新入生ながらオーロラの研究をしていると思われた地球物理学科を訪ねてみたら、先輩方がこの大学ではやっていないと。

●あらら…。

 ちゃんと調べてから入れって思いますよね。でも、自分でやればいいんだから大丈夫と言ってくれた先輩がいて、その先輩についていこう、と思って地球物理学科に入りました。一方、夏には自転車で北海道を始め各地を旅し、星野さんに手紙を書いてアラスカにも行ってオーロラも自分の目で見ました。アラスカのことばっかり考えていた時期でもあります。アラスカの大学院に入ることを夢見ていたけれど、現実を考えつつ、日本の中で、別の大学の大学院でオーロラの研究をすることにしました。

●4年間で勉強の地盤を作り、満を持して、ですね!

 名古屋に移って、ようやく研究をスタートさせました。楽しかったですね。海外にも滞在させてもらう機会をいただいたりしまして。

 でも、どこかで自分は研究者にはならないんじゃないか、と思っていたところがあります。博士課程在学時ですかね。修士課程までは、どちらかというと先生の指示をうけながらひたすら解析をしていけばとりあえずのことはクリアできるんですが、博士課程というのは自分でテーマを決めなくちゃいけない。自分が「面白い」と思っていたものはたくさんあったはずなのに、それらすべての見通しをつけることができない。研究を続けて、研究者になりたいとも思っていたけど、やっぱりそうじゃないかも、と。

●博士課程での挫折ですか。

 研究者の方々がとても楽しそうに研究している姿を見るのは好きでした。「科学って人の営みだったんだ」という当たり前のことにも気づきましたし。でも、研究のテーマを“自分の問題”にすることができませんでした。自分にとっての研究の意義が見出せなかったのです。そんな悩んでいた頃に、ずっと憧れてきた星野さんの訃報が飛び込んできました。どん底からさらに暗闇に落とされた気分でした。

●いろいろと重なってしまったのですね。

 しばらくの間、どうしていいかわからず、とりあえずアラスカに行って考えてようと思いました。自分にとってアラスカとは、オーロラとは何だったのか、星野道夫とは何だったのか、ということを考えるために。そこである夢を思い出したんです。

●夢、何だったのでしょう?まだまだ続く、情熱的なお話は次回へのお楽しみです!

<講義後、学生の質問に答えてくれた高橋さん>