22.宙先案内人 高橋真理子さん(続き)

2013-11-15

今月のCoの花さん11月号(Part2)

「今月のCoの花さん」は、出産・育児・介護といったライフイベントと研究活動を両立してきた諸先輩方や、研究者としてのロールモデルをご紹介するコーナーです。

◎高橋真理子さんのご紹介

<出身>北海道大学を卒業、名古屋大大学院博士課程後期単位取得。

<所属>山梨県立科学館に天文担当として16年間勤務。今年度より「星空工房アルリシャ(http://alricha.net/)」主宰、県立科学館天文アドバイザー、山梨県立大学及び日本大学芸術学部非常勤講師。

 前回は、情熱的な学生時代をお話いただきました。研究者になることへの違和感や、憧れの星野氏の訃報を期に、自分を見つめ直した高橋さん。そんな中で思い出した「夢」とは?

 ●夢、とは?

  大学時代、自分の好きなことを全部捨てずに生きるにはどうしたらいいか、ということを一生懸命考えたときに、「いつかミュージアムをつくろう」と思いついたんです。ある一つのテーマに対して、科学という手法だけじゃなくて、文学や音楽、さまざまな表現手法で世界をあらわせるって素晴らしいんじゃないか、と。

●科学館ですね!

 ええ、そこでまずは科学館に就職をしようと決めました。ただ、決めたのはいいけれど、どうしたらいいのかわからなくて。とりあえずあちこちの科学館に手紙を出しました。働きたいんです!どうしたらいいですか?!って。

●それはすごいですね。現在のようにインターネットで手早く調べられる、という環境ではなかったと思いますので、それは大変でしたでしょう。

 ええ。でも心優しい学芸員の方々から励ましやアドバイスをいただけたりしまして。幸運にも新しく開館する山梨県立科学館に就職することができたんです。それからですね。プラネタリウムに携わる人生が始まったのは。

●す、すごい。大学進学のときもそうですが、やりたいって気持ちがあって、行動をすれば、何かと状況を変えていくことができるっていう証明のようです。それから今につながるのですね。

 それからはプラネタリウム番組制作や解説、「星つむぎの歌」の企画、プラネタリウムを場にした市民グループ「星の語り部」活動の支援、ライトダウン甲府バレーなどを通して、自身の仕事は「つなぐ」「つくる」「つたえる」に集約されると気づきました。

●ご家庭でも星の話をされているのですか?

 そうですね。子供は2人、男女でおりまして、私が星に関する仕事をしているのはもちろんよく知っていますが、詳しくないです(笑)。ただ、わりと物分りのいい息子に比べ、娘のほうは私が仕事ばっかりやっているので寂しい気持ちを持っていたというか、いるというか。「プラネタリウムのナレーションをしているのはお母さんじゃない!声が違うもん」って言われました。どうも星空にジェラシーを感じているようで。でも、私の似顔絵を描いてくれる時には、いつも傍らに星を描いてくれるんです。あ、ちなみに旦那は札幌にいます。週末、山梨に来る生活を送っています。

●お子さんにとってライバルは仕事なのですね。プラネタリウムに携わるようになってから結構お忙しかったと思いますが、育児はいかがですか。

 埼玉と千葉にいるそれぞれの両親にもだいぶ助けてもらいました。でもやはりそうしょっちゅうこられるわけでもないので、県内のファミリーサポートもフル活用しました。旦那も週末にはいろいろやっていますよ。私の場合、育児に専念することは向いていないので、仕事があったから育児もできた、という気がしています。

●なるほど。いろいろな生き方がありますよね。間違いなんてなくて、どれも素敵なその人だけの生き方です。お子さんには将来どんな人に成長してほしいと思っていますか。

 子供には夢中になれるものを持てる人になってほしい。それだけです。

●お母さんが夢を応援してくれるなら頼もしいですね!それでは最後に、学生さんへメッセージをお願いします。

 全てのものは誰かの仕事。プロダクツ。社会は全て誰かの仕事によって成り立っているものだと思います。さらに作り手の思いは使い手に伝わるもので、仕事をする人すべてが思いを込めて仕事をすれば、その思いで社会は出来上がる。だから、思いを込められる仕事を多くの人がしてくれたらいいと思います。

 学生時代には、自分が思いを込められる仕事について、うんと考えてほしい。

 今こそ考える、考えられる時期なのですから。

●高橋さん、どうもありがとうございました!

<高橋さんのアクセサリーはずばり星!「星を見ると真理子さんを思い出す」と言ってくれる人がいるとのこと。素敵です!>