23.大学教授 室伏きみ子先生

2013-12-01

今月のCoの花さん

「今月のCoの花さん」は、出産・育児・介護といったライフイベントと研究活動を両立してきた諸先輩方や、研究者としてのロールモデルをご紹介するコーナーです。

今回はお茶の水大学教授 室伏きみ子先生です。

「理系女性のキャリア形成」科目で6月27日に講義していただきました。

室伏きみ子さんのご紹介

所属:国立大学法人お茶の水女子大学名誉教授、ヒューマンウェルフェアサイエンス研究教育寄附研究部門教授、日本学術会議会員

(Professor of Emeritus, Ochanomizu University  Council Member, Science Council of Japan)

専門分野:細胞生物学、生化学

 今回は、なんともいえず上品で穏やかな先生のインタビューです。お話ししていても、本当に静かにゆっくりと平和に時間が流れるかのよう。。。それでいて思いっきり細胞生物学の研究者なのです。

まずは先生のご略歴。

1972年 お茶の水女子大学大学院理学研究科修士課程修了 理学修士

1976年 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了 医学博士

1977年 ニューヨーク市公衆衛生研究所Research Associateとして子連れ留学

1980年 帰国し帝京大学医学部生化学教室助手

1983年 お茶の水女子大学理学部/大学院人間文化研究科にて助手、講師を経て教授に。

2002年には理学部長、2004年には理事・副学長を務める

1999年・2005年 (仏)ルイ・パスツール大学客員教授

2011年 (株)ブリヂストン社外取締役に就任

2013年 お茶の水女子大学名誉教授、ヒューマンウェルフェアサイエンス寄附研究部門教授

研究テーマについてのご紹介

 新規の脂質性メディエーターである環状ホスファチジン酸(cPA)とステリルグルコシド(SG)を発見し、それらの生理的役割と、それらが機能するために必要な受容体や代謝調節のメカニズムを解明することを目的に、研究を進めてきました。cPAは、細胞の増殖・分化や運動の調節に働き、がん細胞の浸潤・転移抑制作用や、神経細胞の生存維持と傷害治癒作用も持っています。SGは、ストレス応答の初期過程の調節因子として働きます。現在、これまでの研究成果を、社会のために役立てるために、cPAやSGの医療や健康・美容等への応用を目指して、企業等との共同研究により、開発を進めています。また、我々が開発したテロメラーゼ阻害剤・TELINについても、制癌剤として医療へ応用することを目指して、研究を進めています。

●いつごろから理系に“目覚め”ましたか?

 小学校の頃、当時は珍しかった理科の「専科」の先生から受けた影響がとても大きかったと思います。実験の大まかな説明をした後、子どもたちにその結果を予想させて、あっている人は外に遊びに行っていいぞって仰るんです。みんな早く遊びに行きたいから、う~んと精一杯考えては、先生の所へ行って「あぁじゃないか」「こぅじゃないか」って。先生も「惜しいけど違うからやり直し」「そう、その通り!遊びに行ってよし!」という具合で。そしてその次の授業ではいよいよ本当に実験をしてみるんですね。考えた通りになる場合もあり、はたまた予想通りにならないのはなぜなのかと考える場合もあります。おかげで理科が大好きになったし、あの授業で鍛えてもらった“考える習慣”は、その後の私の大きな糧となっていると思います。

●なるほど。考える習慣っていうのは大切ですね。今ドキはすぐに答えをネット等で入手できてしまうので、なかなか脳みそフルパワーで考えるって機会が少ないかもしれませんが・・・そして、中学校からお茶の水女子大附属に進まれたんですね?

  そうなんです。親戚に女子高等師範学校出身の素敵なお婆さまがいて、私もお茶の水に行きたいと思っていました。以来生徒・学生として12年、教員として30年間、計42年間もお茶の水のキャンパスに居ることになるんですけどね、そういうのを俗に“お茶づけ”って呼ぶんですよ(笑)

●(笑!高級なお茶漬けが脳裏をよぎる・・・)個人的には女子校というところに縁がないのですが、女子校ってどういう感じなのですか?

  どう、でしょうか(笑)お茶の水女子大学は古くから女性教員を多く輩出していましてね。附属学校にも女性の先生がとても多くいらっしゃって、思い返すと中学校時代の理科の先生はみな女性でしたし、高校でも半数は女性の先生でした。理数系に進む生徒が三分の一もいました。私は本当に良い先生方に教えて頂いてきたものですから、教員が生徒に与える影響って大きいものだわって思うようになりました。それでいつしか私も良い教員になって少しでも多くの子どもたちに理科を教えたい、考えることの楽しさを教えたい、という夢を持つようになりました。

 

●教員志望だったんですね。それが研究者にどうやって変わっていったのでしょう?

 とにもかくにも、理科の実験が好きなんです。大学に行っても、大学院に行っても実験することがやめられなくなってしまって(笑)、それで初等・中等学校の教員ではなく研究者になりました。でも結果として、大学生や大学院生に講義や研究指導をしていますし、学外の活動(夢のつばさプロジェクト:http://www.npo-ochanomizu.org/tsubasa/:東日本大震災で保護者を亡くされた子ども達と宿泊型キャンプ等をしながらその成長を長く見守る、という活動)でも、たくさんの子ども達にいろいろ教える機会があって、いつの間にか夢が叶っているみたい、と思ったりします。

●いよいよ本格的に研究者としての道を進むことになったくらいの頃、出産されたそうなんです。その頃の心境や貴重な留学体験については次回のお楽しみです!