22.研究、仕事、ライフイベントをこなす『軸』を持った元教員の大学院生(続)

2013-09-10

先週に引き続き、医学工学総合教育部持続社会形成専攻 修士1年のMさんにお話を伺いました。
前回は、教師のお仕事やクラスの様子、また、出産・育児を経験されたMさんのワークライフバランスについて伺いましたが、
今回は、彼女の研究活動に迫ります!

Q:学術調査員でいらっしゃるそうですが、どのような研究をされているんですか? 

A:静岡・山梨・長野の3県で設立された南アルプス世界自然遺産登録推進協議会の中の組織で、3県の学術調査員は、さまざまな専門分野から召集されています。私は両生類の調査をしていて、特にその分布について調べています。女性調査員も私一人だけでした。でも、そんなこと私は全然気になりませんでした。(割とサバサバしてらっしゃるのですね!)そうかもしれません。あら、女性は私一人だけなのねっ で終わりました(笑)

このためだけではありませんが、今は週に2~3回現地調査に入ります。必須アイテムは温度計、ざる、カメラ、メジャー。こういう研究のひと時に幸せを感じていて、この時間があるから生活のバランスが取れているのかもしれません。

Q:そもそも、なぜ両生類の研究を始めたのですか?
(失礼ですが、ヌルヌルなイメージがあって私はちょっと…(Θ😉アセアセ

A:実は、中学生の時にフラスコに入ったサンショウウオに見せられたんです。当時の理科担当の先生に、サンショウウオについて調べてみろと言われたのですが、その生態は私の周りの誰も全く知りませんでした。私は両生類に何の抵抗もなく、どんどん触れちゃう子供でしたし、そこから疑問がどんどん湧いてきて、色々調べるようになりました。

大学に入って、恩師中村司先生(山梨大学名誉教授)に出会ったことが私の今後を決定づけましたね。中村先生は、鳥類の渡りに関する生理学的研究を続ける傍ら、山梨県の鳥類調査及び保護に尽力されていて、その中村先生が私を生物調査のためにあらゆる場所に連れ出してくださり、先生から本当にたくさんの事を学びました。中村先生との出会いは、私にとってまさに運命の出会いです。

他にも、植物研究会の先生方などからは植物について学び、調査に出れば出るほど新しい発見の連続でした。

Q:退職後に大学院に入られたわけですが、いつ頃から考えていたのですか?

A: それはもうだいぶ昔から考えていました。
退職の時に、校長先生に大学院進学を伝えると驚いてらっしゃいましたが、学生の時から行ってきた研究の資料がありますから、いつかはそれをまとめたいとずっと思っていたのです。今回進学したのも、社会人コースではなく2年間の通常コース。試験も一般で受けました。

Q:大学院での講義など、学生生活は如何ですか?

A:まだ学生として講義を聞きはじめてから間もないので、ちゃんとした実感というか感想というものは湧きませんが、私が大学生だった頃は、講義と言えば基本「聞く」でしたが、最近は「討論」的なことを中心にするんですね(ずっと教員をされていたMさんは知識が多いでしょうから、こういうディスカッション的なものはお得意なのではないですか?他の生徒対もタジタジなのでは??)いえいえ、そんな・・・ でもこういうのはとてもいいことだと思いますね。それから変わったことと言えば、構内の建物がだいぶ増えて、もう全然わかりませんね。当時は本当に少なかったですから。

Q:大学とはどういう場所でしょう?振り返られて如何ですか?

A:大学時代から、私は自分の思ったようにやってきました。なので、大学時代を振り返ってみても後悔はありません。大学は、縛られずに勉強できる最後のチャンスです。社会に出ると時間的制約などで、したいことに打ち込める時間はなかなかありません。学生の皆さんにも是非、読書をしたり人の話を聞いたり、旅に出たり、そして一般教養を通して視野を広げてほしいと思います。

そして何より、自分の『軸』をしっかりと持ってほしいと思います。最近の新任の先生方を見ると、皆さん優秀で何事もそつなくこなされるんですね。でもそれは、逆に言えば「個性」がないという事。自分の軸をしっかりと持って物事をとらえる力を身に着けてほしいですね。

Q:教員を目指す学生へアドバイスをお願いします。

A:教員を目指している方なら、きっと一般的な事は学ばれているでしょうから・・・私からは、是非人間として成長してほしいという事でしょうか。先ほども少しお話しましたが、個性のある、人として魅力のある先生になって頂きたいと思います。

Q:では最後に、ご自身の大学院での目標をお聞かせください!

A:そうですね、ずっとやってきた研究資料がありますから、それをまとめること。そして、研究をもっと広く深くすることが目標です。その先の事はまだわかりませんが、より深い研究テーマが見つかったら、博士課程にも進むかもしれません。
まだわかりませんけどね。(^-^)

実は、去る7月12日に「理系女性のキャリア形成科目」にて講師を務めてくださいました。
長年教師をしていらした事もあって、数十人の大学生を前にしてさすがの落ち着きっぷり!

  

学生からの質問にも、丁寧に答えてくださいました。

 

中でも、印象的だったQ&Aをご紹介します。 

Q:仕事と家庭、両立は相当大変なのでは?

A:完璧を目指してはダメ。その代り、一番譲れないものを決める事。私の場合は『食』でした。どんなに忙しくても、子供への食だけは頑張りました。その代り、その他の事、お掃除とかは全然できませんでしたね(笑)主人や母が協力してくれました。

Q:(教員時代)子供を叱る時に気を付けていたことは何ですか?

A:決して他の生徒たちの前で叱らないという事。必ず一対一で話し合っていました。

Q:私は家庭教師をしていますが、成績がなかなか上がらなくて困っています。良い方法はありますか?

A:まずは、その生徒に合ったレベルの教材を見極める事。難しい問題ばかりをさせていては興味もそがれるし苦痛なだけですから。あとは、その問題を繰り返しさせて慣れさせて、できるようになったら褒めてあげる事がとても大事です。

Q:子供に対する態度で気を付けていた点は何ですか?

A:「誠実」でいる事です。子供でも動物的勘で見抜きますから。一人の人として誠実でいるように努めました。

 

湯本さん、ありがとうございました!
 

-キャリア形成科目とは-

先輩技術者、研究者らの経験や、出産・育児に携わる医師等の講義から、生涯設計の中に位置づけた職業人としての自分自身の将来像を描き、進路選択や卒業・修了後のキャリアの形成と継続に役立つ多様な職業観・人生観を学び、よりよい未来をともに考えることが目的です。